【ネタバレあり】OMORI 感想

こっちはOMORIのネタバレをしながら、つらつらと感想を書いていきます。

めっちゃ怖かった。想像以上に怖かったけど、ストーリーがとても良かった。

事前にわかっていた情報は『怖いらしい』という事だけでした。内容を知らずに遊べるゲーム本当に楽しいですね。最高。

だからこそ、心構えをしていた『ホラー』じゃない方向から衝撃を受けて、心底怖かったです。

なんでこんなに怖かったのか考えながら振り返りたい。作中で起きた出来事や描写はもちろん怖かったし悲しかったのですが、そこから更に、

◆サニーに起きた過去の事件を追体験しながら、自分の内側にも侵食されて、記憶を掻き回されたような感覚になったから

かなと思いました。

サニーの抱えていた恐怖は濁して書くけど、マリとの出来事。およびその後のバジルとの出来事。

序盤からずっと付き纏っていた一つ目おばけのような黒い影。この存在がジャンプスケア的な、ありがちのホラー表現のメインみたいに使われていました。

現実パートのバスルームで鏡を見ると背後にいたり、ゲームの進行の区切り部分のようなところで印象的に画像が挟まれたりと、ずっとオモリおよびサニーの意識の中に色濃く存在しているアイコン的な恐怖の具現。

でも本当に怖かったのは、これの正体がわかってしまった時。改めてこのゲームの凄さに恐れ慄いた。

ただ単に意味なく脅かしにきているサニーにとってのおばけとかでは全然なくて、マリの最期の、本当に最期に、木からぶら下がった(ぶら下げた)彼女の髪の隙間から見えた片方の目。

サニーは自分の罪と目を合わせてしまったんだな。一生着いて回る、それこそ記憶を失いでもしない限り逃れることができない恐怖に捕まってしまった。

これはそうなるよ。自分だったら潰れてしまう。

誰にも言えない。誰とも話したくなくて部屋から出なくなるし、自分の意識を守ろうとして世界を作り上げても不思議ではない。このOMORIの世界観というかゲーム内の状況への説得力を感じました。

そして、共犯であるバジルの存在。

大丈夫。きっとうまくいくって、この時のことなの!?ってなりました。

サニーからバジルへの感情とその変化みたいなものがヘッドスペースで丁寧に描かれていて壮絶でした。

段々存在が消えていってしまうバジル。

バジルの存在はマリの件へ直結してしまうので、苦しみから逃れたい、逃れようとしているサニーの中から排除されそうになっている。

助けて、というバジルを助けないオモリ。

執拗に酷い目に遭うバジルから、彼を消したい、恨んでいるような描写。

バジルはバジルで大切なサニーを助けるためのベストを取ったんだと思うけど、子供たちだけの精一杯って大抵悪手になりがちよね。隠蔽なんて最たるというか。

序盤からミスリードさせられ続けていたことにも気が付かなかったし、先が全然読めなかった。

不穏なモノクロの無意識世界?とサニーが心を守るために作り出したヘッドスペースと、現実世界を別々に見せられて、楽しい!怖い!を交互に浴びながら物語に翻弄されていました。

でも、クリアした今だからわかるけど、序盤から何が起きたのかの伏線というか、示唆されているシーンはあったんだよね。

例えば意味深にひっそりとある木と、ぶら下がるタイヤが森の一角とかに配置されてる場所があって、初めて訪れた時はなんだろう?なんてぼんやり思ってたのに、真実を知った後はアレを表現してたんだっていうことがわかってしまって、それがまた恐怖心を煽ってきます。

序盤は、こういう遊具あるよね。くらいに思ってた。

消し去りたい。忘れようと思っていても、潜在意識にはずっとその光景が残っていて、メタファー的に現れてしまうというような表現。すごいよ。

なんだろうか、このOMORIのじんわりと深層心理を探っていくような構成。私も自身の完全に忘れていたしんどい過去が思い起こされてしまって滅入りました。本当にすごい。

恐怖とは、わからない事、未知、理解できない現象や対象へ感じるものであるのかな、と個人的に思っていて、ホラーは自分の知覚できないものへの『得体の知れなさ』に由来して発生する感情なのかなー、なんて考えていました。

OMORIで描かれた恐怖は、『自分が他者へ抱きうる悪意』であるとか、それに付随して生じる『罪の意識』あたりが題材になっていたんじゃないかと感じました。

だからゲーム内で起きたことが全然他人事に思えなくて、私はめちゃくちゃ怖くなってしまった。

私の現実にも普通に起こりうる出来事だなと思いました。程度は違えど私も人を傷つけたり、何かを隠して逃げてしまった事があったから、覚えがあって苦しくなってしまったのかな。

ヘッドスペースの住人(おそらくサニーの意識?)が、思い出さなくてはいけないことがあるよね、的な事をオモリに話す場所があちこちにあるのですが、そこがとても好きです。比較的隠れた場所にあるんだけど、彼の中には立ち向かおうとする意思も確かにあって、そうすることによってサニーは外に出ることができる。

OMORIはタイムリープものではないので、過去はやり直せない。失われた人を助ける事はできないから、マリは戻ってこない。

守りたかった場所、幸せだった日々を回想しながらラストへ向かうシーン、本当に辛かったです。二度と戻れない暖かな記憶。思い出。

こういう素敵なシーンがあったんだよね。

それでも、痛みを伴いながら一歩を踏み出すことに決めたサニーの意志と覚悟は、尊いものだよなと、彼が立ち上がりバイオリンを構えた場面でボロボロと泣いてしまった。

間違えているところもあるだろうけど、もうちょっとじっくり考えていきたいな。いろんな場所を探索しながら、また浮かんだことは書き留めよう。

心に残る素晴らしいゲームでした。出会えて良かった!

© OMOCAT, LLC.

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